マグロのドラマは松坂慶子さんから始まった。
操(松坂慶子)は、傷害容疑で逮捕された航(渡邉邦門)のもとへ
車で向かったその道中に起こった交通事故で帰らぬ人となってしま
った。
大間に集まる操の初盆を迎える竜男(渡哲也)、夏海(天海祐希)
、洋道(徳重聡)、真由(内田有紀)ら一家。
しかし、そこに航の姿はなかった、刑期は終えたはずなのに。
東京に戻ったものの、仕事に身の入らない夏海。
腕を失って吹けなくなったトランペットが、今もきれいに磨かれて
実家に置いてあることを知る洋道。
一方、ひとりで食堂を営み始めた真由。
それぞれが、父親と大間への思いを胸に、日々を送り始める。
ある日、こっそりと大間の家を訪れ、操の遺影の前で号泣する航。
目を腫らしながら、家を後にしようとした航は、ちょうど帰宅した
竜男と鉢合わせになり、慌ててその場から逃げ出してしまう。
大間の漁港で食うにも困る状態の航を発見した吾郎(高橋克典)は、
自分のアパートに連れ帰り、坂崎家の誰も知らない航の胸の内を知
る。航は、竜男のような一本釣りの漁師になりたかったのだ。
竜男が洋道にマグロ漁のイロハを教えるそばで、“いつか自分も”
と思いながら、竜男の一言一句をノートに書き留めていた航だった。
しかし、竜男は航をエサ釣り船にしか乗せなかった。
その父への反発と空回りは、その時以来だという。
夏海は吾郎から事情を聞かされて心が痛んだ。
航のノートを竜男に見せようと考えた。
洋道からは「航の気持ちが今の親父に素直に伝わるとは思えない」
と反対されるが、夏海は意を決して竜男にノートを見せ、
「父ちゃんみたいに強くなりたいって思いながら、いじけていく航
の気持ちがわかる?」と詰め寄る。
一本気で常に強かった父、しかしその一方で、家族が辛い思いを抱
えている時に優しい言葉すらかけてくれなかった父…。
そんな父を涙ながらに責める夏海に対し、竜男が閉ざしていた口を
開いた。
「どんなに出来が悪くても、どんなに心配かけられても、自分の子
供が可愛くねぇって親はいねえんだよ。男親の俺は、一本釣りの仕
事に誇りを持って働く。その姿だけはきっちりお前らに見せられる
、と信じて生きてきたんだよ」。
吾郎は夏海にある決意を告げる。
「航を預かる。俺、航をいっぱしの漁師にしてみせるよ」。
大間の町では、年に1度のマグロ祭が最高潮に達していた。
そんな吾郎の優しさに、夏海の胸はいっぱいになるのだった。
竜男が突如、吾郎のもとで漁師を目指す航のところへ乗り込んできた。
航は勇気を振り絞り「お父に負けないような漁師になってみせる!」
と宣言。力強い息子の言葉に、竜男は
「なれるもんならなってみろ!」とだけ言い残し、その場を立ち去る。
ハイテク機器に頼る漁を止めようと心に決めた吾郎と共に航は、竜男が
こだわり続ける“腕一本での漁”に挑み始めた。
家族の大切さを痛感した夏海は、東京での生活を振り切り、家族のいる
大間へ帰ってくる。
父の出港を知った航は、吾郎に頼み込み、たったひとりで船を出す。
海上でそれぞれマグロとの闘いに挑む竜男と航。
やがて、竜男の糸に巨大マグロがかかった。
ところが、突然胸の痛みを覚えて動けなくなる竜男…。
そこへ、異変に気付いた航が“助け船”を出した。
竜男と航は力を合わせ、大格闘の末に巨大マグロを引き上げる。
長年にわたる親子の確執を解消し、新たな絆で結ばれる2人。
やがて彼らの船は肩を並べ、ゆっくりと走り出した。
家族そして漁師仲間たちの待つ漁港に向けて。
